【NHK Eテレ】「それもいいね」に込められた想い|こっちのけんとさんの歌が大人にも響く理由

子どもの成長や日常のなかで、思いがけない形で素敵な音楽に出会うことがあります。
私の場合、そのきっかけは保育園の運動会でした。
秋の運動会のお遊戯で、子どもたちが踊る曲に選ばれたのが「それもいいね」という楽曲。
お恥ずかしながら、それまで私はまったく知らなかったのですが、この曲はNHK Eテレで毎週月〜金の朝7:00〜7:20に放送されている小学生向け番組『The Wakey Show(ザ・ウェイキー・ショウ)』のテーマソングだったのです。
「かけて!」とせがむ子どもと一緒にYouTubeで聴いてみた瞬間、私は思わず思ったのです。

選曲した先生方、センス良すぎる!
子ども向けに優しく作られていながら、耳に残るアップテンポ。
歌うのは「こっちのけんと」さん。透き通るようでいて温かみのある声が、聴く人の心をそっと包み込みます。
そして何より、歌詞が本当に素敵なのです。
歌詞に込められたメッセージ
サビの一節を抜粋すると、こんなフレーズがあります。
どんどんのめり込んでくこの世界は
誰もが人それぞれ
どんどんのめり込んでくこの世界は
摩訶不思議ばかりだから
ちがっていても…
『それもいいね!』

歌詞全文はUta-Netさんよりどうぞ。
いかがでしょうか。
子どもが口ずさむ歌として可愛らしい響きであると同時に、大人の心にも深く刺さる言葉ではないでしょうか。
昭和の時代は、高度経済成長のただなかで「皆が一つの方向を目指す」ことが美徳とされていました。努力や団結が信じられていた社会。
しかし令和の今はどうでしょう。
かつて信じられていた「共通の正解」や「一方向の価値観」が揺らぎ、多様性が尊重される時代へとシフトしています。
その一方で、「何を信じればいいのか分からない」「自分で立たなくてはいけない」という心細さも同時に抱えてしまう。
まさに、そんな令和の空気に「それもいいね」という言葉がやさしく寄り添ってくれるように思えるのです。
子どもの歌の顔をしながら、大人にこそ響く。
そんな奥行きを、この曲は持っていると感じました。

制作背景に込められた思い
NHKの公式サイトには、こっちのけんとさんご本人のコメントが掲載されています。
最初に考えたことは『こどもたちが朝、口ずさみながら登校する姿』でした。
そのとき、朝一番に『それもいいね』という言葉を覚えて欲しいなという思いから制作いたしました。
多種多様なこの世の中の全てに興味を持ち、そして褒めることができるウェイキーのようなすてきな心を目指して、GRPさんと共に作詞・作曲させていただきました。この楽曲「それもいいね」をたくさん聴いて、友達や家族のことをたくさん『それもいいね』していただければ幸いです。
この言葉を読んで、さらに胸を打たれました。
「こどもたちが朝、口ずさみながら登校する姿」を思い浮かべて作られた歌。
そして「朝一番に『それもいいね』という言葉を覚えてほしい」という願い。
一日の始まりを、ネガティブな気持ちで迎えるのか、ポジティブな言葉から始めるのか。
それだけで、その日の充実度や心の余裕は大きく変わってくるはずです。

言葉の力と科学的な裏付け
私が特に共感したのは「朝一番に『それもいいね』という言葉」という考え方です。
実は人間の脳には「言葉を先に出すと、その理由を探し始める」という性質があります。
脳科学では「ミラーニューロン(ミラー細胞)」の働きとして知られており、これは別名「モノマネ細胞」とも呼ばれています。人は言葉や表情、イメージを自然と真似し、同調してしまうのです。
つまり、 ポジティブな言葉を発するだけで、脳はその理由を探そうとし、気持ちや行動まで前向きに引っ張られていく のです。
また「プラシーボ効果」も有名です。
偽薬であっても「この薬は効きます」と伝えられることで、実際に症状が改善する事例が数多く報告されています。これも「言葉」が心身に影響を与える証拠といえます。
だからこそ、「それもいいね」という言葉を朝一番に口にすることには、科学的にも大きな意味があるのです。

歌が持つパワー
歌はただの言葉の羅列ではありません。
メロディに乗せて届けられることで、言葉以上の感情や想いがダイレクトに伝わってきます。
歌い手の温かさや、制作に込められた願いを知ると、その楽曲がさらに深く心に響く。
「それもいいね」を聴いて私が感動したのも、きっとその背景に触れたからでしょう。
まとめ──「それもいいね」から始まる一日
先日、私は「人類みなアーティストだ」という趣旨の記事を書きました。
表現方法は違えど、人は誰もが想いを外に出し、誰かに届ける存在だと思っています。
こっちのけんとさんが「それもいいね」に込めた願いを知り、私もあらためて「自分の想いを言葉にのせ、文章にして届けていきたい」と強く感じました。
だから、今日も朝から「それもいいね」と思いながら一日を始めたい。
そして子どもと一緒に、この曲を口ずさみながら歩んでいきたいと思います。
みなさんはどうでしょうか?
あなたの 朝のはじまりに、「それもいいね」という言葉 を取り入れてみませんか。