【お金の新常識】「増やす」だけじゃ足りない?──これからは「使う力」も磨こう

はじめに:NISA拡大のニュースから考えること
先日、金融庁がNISA(少額投資非課税制度)の対象を高齢者や子どもを含め、全世代に拡大する方針を発表しました。
(参考:Yahoo!ニュース)

近年は「老後資金2,000万円問題」に象徴されるように、将来のための資産形成や投資の必要性が繰り返し取り上げられています。
- 「とにかく貯金を増やさなければ」
- 「投資で効率的にお金を育てよう」
こうした考え方は、もはや当たり前になりつつあります。
しかし私は、ここに一つ大事な視点が抜け落ちていると感じています。
それは「お金を使う」ということです。
資産形成のために「増やす」ことはもちろん大切です。ですが、それだけでは不十分なのではないでしょうか。

「お金を使う」とは何か?
ここでいう「お金を使う」とは、単純に “自分がやりたいことにお金を使う” です。
注意しておきたいのは、「投資」はここには含まないということです。投資はあくまで「増やす」側の行為です。
- 家族で旅行に行く
- 趣味にお金をかける
- 美味しいものを食べる
- 学びや経験に投資する
こういった行動こそが「お金を使う」に当たります。
「増やす」だけの落とし穴
仮に20歳から60歳まで、毎月10万円を積み立て、年利7%で運用したとします。
60歳になる頃には、なんと 2億円以上 もの資産になります。
(参考:アセットマネジメントOne 資産運用かんたんシミュレーション)

一見すると老後は安泰です。
しかし現実を考えると、この2億円を「思うように使い切ることは難しい」でしょう。
- 年齢を重ねると体力が落ちる
- 行動範囲が狭まる
- 食の好みが変わり、量や味の濃い料理が楽しめなくなる
つまり、「やりたいことにお金を使う力」は加齢とともにどうしても衰えてしまうのです。
また、毎月10万円の積み立ても、20歳から欲求を我慢して捻出し続けていたのだとしたら…?
きっと多くの人が思うでしょう。
「もっと若い時に体験しておけばよかった」
人生を俯瞰する視点の大切さ
だからこそ必要なのが、
「お金を増やす」と「お金を使う」の両方を俯瞰し、人生全体でバランスを取る視点
です。
資産形成はもちろん大事です。投資や節約は、将来の安心を支える大切な土台になります。
しかし、安心を手にした未来に「やりたいことができない」となれば、それは本当に幸せと言えるでしょうか。
人生は「お金を持っていること」そのものが目的ではなく、
「お金をどう使って、どんな経験を得るか」が本質だと感じます。
「お金が使えない」人の心理
ここで少し踏み込むと、長年倹約や貯金に励んできた人ほど、「お金を使う」ことに抵抗を感じやすい傾向があります。
- 「将来のために、今は我慢しよう」
- 「高いからやめておこう」
- 「いつか必要になるから、今は貯めておくべきだ」
これは決して悪いことではありません。むしろ健全な考え方です。
ですが、心のどこかで「本当はやりたいのに我慢している」という感覚があるのなら、それはもったいないことです。
言い換えれば、それは “お金を使う免疫が足りない” だけなのかもしれません。
私自身の体験談
実は、私自身もその「使えないタイプ」でした。
- 服はUNIQLOを数枚着回す
- 趣味は読書や日記など、出費がかからない
- 旅行は年に1〜2回、しかも格安プランを必死に探す
当初の目的は「旅行を楽しむ」ことだったはずなのに、いつの間にか「いかに安く行くか」という思考にすり替わっていました。
結果として、旅行の計画を立ててワクワクはしますが、同時に消費そのものに対する罪悪感も抱いていました。
しかし資産形成を続け、ライフプラン全体を考える中で気づきました。
「お金をただ貯めていても、人生は豊かにならない」
「体験に変えることで初めて、資産は生きた価値を持つ」
その気づきから、私は少しずつ「使う練習」を始めました。
- 年に6回以上旅行に行くようになった
- 家族5人で1泊10万円以上の宿に泊まる経験もした
- 「お金を体験に変換する」ことを意識した
すると、不思議なことに以前よりも日々が充実し、活力が湧いてきたのです。

経験や思い出が増えたことで、思考や価値観も豊かになっていっている気がします。
「体験に変えるお金」の価値
もちろん、旅行である必要はありません。
人によっては趣味、学び、家族との時間、健康への投資など、さまざまな形があります。
大切なのは、
- 「増やす」ことだけに偏らないこと
- 人生のタイミングを見ながら「今だからできること」にお金を使うこと
です。
お金は単なる数字ではなく、人生を彩るためのツール。
そのツールをどう使うかで、同じ金額でも得られる幸福度は大きく変わります。
まとめ:これからのお金の付き合い方
お金を「増やす」ために、節約や投資を続けることは大切です。
しかしそれと同じくらい、今という時間を楽しむために「使う」こと も忘れてはいけません。
- 人生全体を俯瞰する
- 「増やす」と「使う」の両輪で考える
- 心のどこかで我慢しているなら、少しだけ贅沢を許してみる
こうした視点を持つことで、きっとお金はもっとあなたの人生を豊かにしてくれるはずです。
もしあなたが「お金を使うことにブレーキを感じている」としたら、それはお金の使い方に慣れていないだけかもしれません。
少しずつ練習をして、「お金を体験に変える力」を身につけていきましょう。
その経験は、きっとこれからの人生をずっと支えてくれる財産になるはずです。

あなたにとって、「お金を使ってでも得たい体験」は何ですか?