子どもから学んだ、大人が忘れかけた2つの大切なこと

子どもと一緒に過ごしていると、ふとした瞬間に「すごいなぁ」と感心することがあります。
それは単に可愛らしい仕草や面白い発言だけではありません。
むしろ、大人になって忘れてしまった感覚や、社会に出てからは意識もしなくなった大事なことを、子どもは自然にやってのけるのです。
私は特に、子どもを見ていて強く感銘を受けたことが2つあります。
それは「壁をつくらないコミュニケーション力」と「それでも存在する“相性”という壁」です。
この2つは、一見すると相反するように見えますが、どちらも大人が人間関係をラクにするヒントを含んでいると感じます。
1. 壁をつくらないコミュニケーション力
子どもは、初対面の相手でもすぐに仲良くなります。
公園で出会ったばかりの子と、5分後には一緒に鬼ごっこをして笑い合っている——そんな光景は珍しくありません。
大人の私たちが同じことをやろうとしても、まず自己紹介をして、会話を探りながら距離感を調整して…と、いくつものステップを踏む必要があります。
なぜ子どもはあんなにも自然に距離を縮められるのでしょうか。
大きな理由の一つは、
「余計な詮索や心の壁がない」
ことだと思います。
大人になると、「こう思われたらどうしよう」「この発言は失礼じゃないかな」など、頭の中でたくさんのシミュレーションをしてしまいます。
それは人を傷つけないための配慮であり、社会生活を円滑にするためには必要不可欠なスキルです。
しかし、その配慮が行きすぎると、行動する前に自分を縛ってしまうことにもつながります。
例えば、「この人に話しかけてみたい」と思っても、「もし無視されたらどうしよう」「変に思われたら嫌だな」と考えてしまい、結局話しかけないまま終わる。
これは相手を思いやっているようで、実は自分を守るためのブレーキです。
そして、このブレーキは他人に対してだけでなく、自分自身にもかかります。
- 「失敗したら恥ずかしいからやめておこう」
- 「恥をかきたくないから今のままでいよう」
そうして挑戦の機会を見送るうちに、可能性の芽を自ら摘んでしまうこともあります。
しかし、子どもたちは、そんなブレーキをほとんど持っていません。
- 「楽しそうだからやってみる」
- 「あの子が遊んでいるから声をかけてみる」
理由は単純で、そこに損得勘定や不安はありません。
大人が見習えるのは、まさにその無邪気で素直な姿勢です。
もちろん、社会の中で生きる以上、全てを子どものように振る舞うことはできません。
けれども、大人になった今だからこそ、「必要以上に自分を守っていないか?」と時々立ち止まって考えることは大切です。

心の壁を少し低くしてみるだけで、思わぬご縁やチャンスが舞い込んでくるかもしれませんね。
2. それでも存在する“相性”という壁
一方で、子どもを見ていると、驚くのは「すぐ仲良くなれる」だけではありません。
同じくらい鮮明に見えてくるのは、「どうしても合わない相性がある」という事実です。
どれだけ無邪気で心を開いていても、人間同士の間には性格や趣味、考え方の違いがあります。
子どもたちでも、気の合う子とは何時間でも遊び続けられますが、合わない子とはすぐに距離ができてしまいます。
それは喧嘩をしたからではなく、もっと根本的な「波長」の違いなのだと思います。
この現象は、大人の世界でも同じです。
どんなに社交的で人当たりのいい人でも、全員と深く分かり合えるわけではありません。
「誰とでも仲良くなれる」という言葉は、厳密には幻想に近いものです。
もちろん、ビジネスやチームでの活動では、相性に関わらず協力しなければならない場面もあります。
役割として手を組み、成果を出すために努力することは必要です。
しかし、それと「心から通じ合えること」は別物です。
全員に好かれようと無理をする必要も、全員と心を通わせようとする必要もありません。
むしろ、「この人とは深く関わらない方がいい」と感じたら、無理をせず距離を置くことは、自分の心を守るためにも、相手を無理に巻き込まないためにも大切です。
これは決して冷たいことではありません。

健全な人間関係のための必要な選択だといえます。
大人に必要なのは、割り切りと柔軟さ
子どもから学べるのは、壁をつくらない無邪気さと素直さ。
そして同時に、「合わない人はいる」という割り切りです。
この2つは一見矛盾しているようで、実はバランスをとることで人生がずっとラクになります。
例えば、新しい出会いにはできるだけオープンでいる。
でも、「なんとなく合わない」と感じたら、必要以上に深く踏み込まない。
そうやって距離感を調整できれば、無駄なストレスを抱えることなく、人間関係を楽しめます。
大人になると、仕事や家庭、地域のつながりなど、避けられない関係が増えていきます。
だからこそ、全員と仲良くすることを目標にするのではなく、安心して付き合える人を大切にし、それ以外とは適度な距離を保つことが大切です。
その方が、自分の時間も心も、ずっと健やかでいられるはずです。

子どもたちでも、そうしています。
おわりに
子どもを見ていると、大人が忘れかけていたことを思い出させてくれます。
- 壁をつくらず、素直でいること。
- それでも、誰とでも深く分かり合えるわけではないという現実。
この2つを意識するだけで、人間関係はもっとシンプルになり、人生は軽やかになります。
もしかすると、大人が子どもから学べる最大のことは、「心を開くこと」と「上手に距離を置くこと」の両方を知っている、その柔らかさなのかもしれません。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

あなたにとっての“相性”のいい人、とはどんなひとでしょうか?
時間をとって考えてみるのも、いいかもしれませんね。
私もいま一度考えてみようと思います。