言語化の力と、「言語化できないもの」の大切さ

「言語化って、大切だな」と感じる瞬間が、最近よくあります。
自分の感情や考えをうまく整理できないとき、なんだかモヤモヤした気持ちになったり、焦ったり、誰かに振り回されているように感じたりしませんか?
逆に、それらを言葉にできた瞬間、スッと胸の中が晴れるような感覚がある。
それはきっと、「言語化」することで、自分の中にあるあいまいな感情や考えに輪郭が生まれ、ちゃんと「向き合える」ようになるからなんだと思います。
多様で速すぎる時代に、自分の軸をつくる
現代は、ものすごいスピードで情報が流れ、価値観も答えも多様です。
「これが正解だよ」と語る声が無数にある。
SNSを開けば誰かの成功談や幸福そうな日常が目に飛び込んでくるし、何を信じていいのか、どの方向に進めばいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
だからこそ、
「自分はどう感じているのか」
「何を大切にしたいのか」
を、自分の言葉で語れる力がすごく重要になってきています。
言語化は、自分の価値観や感情を明確にし、自分らしい選択をしていくためのツールなんです。
言語化できない感覚にも、目を向ける
一方で、私はこうも思っています。
言葉にできないものの中にも、大切なものはたくさんある
、と。
たとえば…
- よくわからないけど、ボールを思いきり遠くに投げるのが楽しい
- 理由はわからないけど、絵を描いていると時間を忘れてしまう
- うまく説明はできないけど、あの瞬間だけは心が震えた
こういう感覚、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
「心の衝動」とは何か?
私は、こういった「理由も説明もできないけれど、心が動いてしまうこと」を、「心の衝動」と呼んでいます。
心の衝動とは、「好き」「楽しい」「夢中になれる」といった、極めて個人的で純粋な感情。
それは、他人の評価や社会の基準とはまったく関係なく、あなたの内側から自然と湧き上がってくるものです。
もっというなら、それは「理屈を超えた何か」です。
子どもが遊びに夢中になるように、目的も報酬もいらない。ただ「やりたいからやっている」。
そんな行動の原点にあるのが、「心の衝動」だと思うのです。
「心の衝動」は、人生のナビゲーション
そしてこの「心の衝動」は、実は人生を豊かに生きていくうえで、とても大切な指針になります。
なぜなら、「心の衝動」には、あなた自身の本質が表れているからです。
世間の評価を気にしながら選んだ道よりも、
誰かの成功を真似して踏み出した行動よりも、
「なぜかわからないけど、やりたくてたまらない」と感じる方向のほうが、自分の人生を生きているという感覚を得やすい。
それはきっと、「衝動」があなたにとっての小さな使命だからだと思います。
それがどんなにささいなことであっても、そこにこそ「あなたらしさ」がある。
忙しい時代だからこそ、立ち止まること
ただ、現代はとても忙しくて、情報も多く、意識を外にばかり向けていないと置いていかれるような感覚があります。
そんな日常の中で、「心の衝動」に気づくことは簡単ではありません。
でも、本当に大切なのは、他人の正解ではなく、自分の中にある小さな“違和感”や“ときめき”に気づいてあげることなんじゃないかと思います。
小さな言葉にしてみる
だからこそ、私はこう提案したいのです。
「言語化」を通して、自分の心に向き合ってみてほしい
最初はうまく言葉にできなくてもいい。
「なんか好き」「よくわからないけどワクワクする」――それくらいの表現でも十分です。
大切なのは、自分の心の動きをスルーせずに、ちゃんと“見つめる”こと。
できれば、紙に書き出してみたり、スマホのメモに残してみたり、小さな日記のような形でもいいから、自分の気持ちを言葉にしてみてください。
そうして自分の外に出した言葉たちを、客観的に眺めてみてください。
このように少しずつでも言語化していくと、自分でも気づいていなかった「本当の気持ち」が見えてきます。
言語化すること、しないこと、どちらも大切に
最後に。
「言語化すること」と「言語化できないこと」の両方を、大切にしてみてください。
前者は、自分の人生を整理し、前に進む力になります。
後者は、自分にしかない本質と出会うためのヒントになります。
現代のように、あらゆる価値観が飛び交う時代だからこそ、外の声に振り回されすぎず、自分の「心の声」にちゃんと耳を傾けることが、なによりも大切だと思うのです。
あなたの中にある「心の衝動」に目を向け、それをそっと言葉にしてみてください。
そこには、あなたにしか歩めない、かけがえのない人生のヒントが隠れているかもしれません。
今、あなたの中には、どんな「心の衝動」がありますか?