現実的な資産形成の第一歩 ― インデックス投資を始めよう

最近、
「老後資金はいくら必要なのか」
「将来、年金だけで暮らせるのか」
といったニュースを目にする機会が増えてきました。
物価もじわじわ上がっていて、スーパーで買う食材や日用品の価格が数年前より高くなっていることを、日常生活の中で実感している方も多いと思います。
こうした社会の変化を受けて、「もっとお金のことを真剣に考えないと…」と感じている人は少なくありません。
実際、多くの人が節約や貯金に励んでいるのではないでしょうか。
節約や貯金は、とても大事な第一歩です。
しかし正直なところ、それだけで「未来の安心をつくる」のは難しいのが現実です。
今回はその理由と、私がオススメしたい「インデックス投資」について、できるだけ分かりやすく解説していきます。
預金だけで資産形成はできる?
まずは、誰もがやっている「銀行預金」について考えてみましょう。
貯金は安心感がありますよね。
銀行に預けておけば減ることはなく、必要なときにすぐ引き出せます。
しかし、残念ながら「増える」という点においては、今の銀行預金には大きな限界があります。
現在の普通預金の金利は わずか0.2%前後。
例えば100万円を1年間預けても、利息はたったの2,000円程度です。
一方で、物価は毎年少しずつ上昇しています。
つまり「預けて安心」と思っていても、実際には お金の価値が目減りしている 可能性があるのです。

インフレによる現金価値低下については、目の前の「1万円」という金額もお札自体も、何も変化が無いため気づきにくいですね。
インデックス投資という選択肢
では、どうすればよいのでしょうか?
その答えのひとつが「インデックス投資」です。
インデックス投資とは、特定の株価指数(インデックス)に連動する投資信託やETFを購入し、長期的に運用していく方法です。
例えば、
- 米国株式の代表的な指数:S&P500
- 日本株式の代表的な指数:TOPIX
といったものがあります。
これらの指数は、国や企業の成長とともに長期的に右肩上がりの傾向があります。
過去のデータを振り返ると、
- 米国株式市場(S&P500):年平均リターンおよそ10%前後
- 日本株式市場:年平均リターンおよそ5%前後
といった実績があります。
もちろん短期的には上下しますが、数十年という長期スパンで見れば、着実に成長してきたのです。
預金と投資の差は歴然
ここで、100万円を例にして考えてみましょう。
- 銀行預金(年利0.2%)の場合
1年後に増える額はわずか2,000円。 - インデックス投資(年利5〜10%)の場合
1年後に増える額は5万〜10万円。
同じ「100万円」を持っていても、置き場所が違うだけで結果は大きく変わります。

リスク許容度にもよりますが、投資にはパワーを感じますよね。
複利の力を侮るなかれ
インデックス投資が強力なのは、単に利回りが高いからではありません。
真の力は「複利」にあります。
複利とは、利益が出たらそれを元本に組み込み、再び運用する仕組みです。
利益に利益がつくことで、雪だるま式に資産が増えていきます。
たとえば初期投資100万円で、年利7%の複利運用をした場合、
- 10年後:約200万円(2倍)
- 20年後:約400万円(4倍)
- 30年後:約800万円(8倍)
となります。
つまり、100万円をそのまま預金に置いておくのと比べると、将来の資産規模にとてつもない差が生まれるのです。

「年利7%で10年後の2倍になる」というのは、『72の法則』という複利計算から導かれる法則に則ってます。
よかった検索してみてね。
具体的なシミュレーション
ここで、もっと具体的な数字を使ってみましょう。
仮に20歳の人が「50歳までに1億円の資産をつくって、お金の不安をほぼゼロにしたい」と考えたとします。
期間は30年間です。
- 普通預金(年利0.2%)の場合
毎月27万円をコツコツ貯め続ける必要があります。
しかし、これはほとんどの人にとって現実的ではありません。 - インデックス投資(年利7%)の場合
毎月8万5,000円を積み立てていけば、30年後に1億円に到達します。
投資元本は3,000万円程度で、残りの7,000万円は運用による増加です。
必要な積立額は、なんと3分の1以下になります。
これなら無理なく続けられる人も多いのではないでしょうか。

実際のシミュレーションは、私もよく使う下記サイトが便利です:
👉 資産運用かんたんシミュレーション(アセットマネジメントOne)
インフレという見えないリスク
もうひとつ忘れてはいけないのが「インフレ(物価上昇)」です。
現金は数字として減りませんが、実際に使える価値はどんどん下がっていきます。
- 数年前まで1万円で買えていたものが → 今は1万2,000円
- さらに10年後には → 1万5,000円、2万円
という具合です。
銀行に預けておくだけでは、インフレに負けて資産価値が削られてしまうのです。
だからこそ、お金を「市場に置いて育てる」ことが重要になります。

日銀は2%の「物価安定の目標」を定め、公言しています。
つまり2%以下の年利(例えば普通預金)では物価上昇に負けてしまいますね。
インデックス投資のメリットと注意点
ここまで読んで、「投資ってやっぱり大事なんだな」と感じた方もいるでしょう。
しかし、インデックス投資にはリスクもあります。
- メリット
・長期的に安定した成長が期待できる
・複利の効果で資産が大きく増える
・個別株投資に比べてリスクが分散されている - 注意点
・短期的には価格が上下する
・元本割れの可能性もある
・途中で焦って売却すると損を確定させてしまう
大切なのは「長期的に続ける覚悟」を持つことです。
10年、20年と時間をかけてこそ、インデックス投資の強みは発揮されます。

我が家は本格的に始めて5年経ちましたが、かなりの効果を実感しています。
NISA・iDeCoを活用しよう
ここまで読んで

「インデックス投資が大事なのは分かった。でも実際にどうやって始めるの?」
と思った方も多いでしょう。
そこでおすすめしたいのが、国が用意している 税制優遇制度 ― 「NISA」と「iDeCo」です。
NISA(ニーサ)とは?
NISAは「Nippon Individual Savings Account」の略称で、日本個人貯蓄口座のことです。
内容としては、株式や投資信託で得た利益にかかる税金(通常20.315%)が 非課税 になる制度です。
2024年からは「新NISA」が始まり、制度が大幅に使いやすくなりました。
- 年間投資枠:最大360万円
- 生涯投資枠:最大1,800万円
- 非課税期間:無期限
つまり、一度買った投資信託は、売るまでずっと非課税で運用できるのです。
これを活用しない手はありません。
特に「インデックス投資と相性が抜群」と言われるのは、毎月コツコツと非課税枠を積み立てていけるからです。
仮に毎月5万円をNISAで積み立てていけば、30年後には数千万円規模の資産形成も十分に狙えます。
iDeCo(イデコ)とは?
iDeCoは「individual-type Defined Contribution pension plan」の頭文字から取られた造語で、「個人型確定拠出年金」と呼ばれる制度です。
老後資金づくりを目的としています。
特徴は 掛金がすべて所得控除の対象になる こと。
つまり、毎月積み立てるたびに税金が安くなるのです。
例えば、年収500万円の人が毎月2万円をiDeCoに積み立てた場合、年間で約2.4万円の節税効果があります。
これを30年続ければ、節税だけで70万円以上の効果になる計算です。
そしてその積み立て先にインデックスファンドを選択すれば、さらに投資での利益も。
ここまで見るとiDeCoいいじゃん!となるかもしれませんが、原則60歳になるまで引き出せないという制限があります。
そのため「老後資金の準備」として割り切って利用するのが賢いやり方です。
どう使い分ける?
- NISA:いつでも引き出せる。資産形成の「メイン口座」としておすすめ。
- iDeCo:60歳まで引き出せないが、そのぶん節税メリットが大きい。老後資金専用の積立として活用。
どちらも「インデックス投資」と相性抜群です。
この制度を使うかどうかで、最終的に手元に残る金額は大きく変わってきます。

我が家はこの2つをフル活用したうえで、特定口座でも資産運用しています。
まとめ ― 今こそ一歩を踏み出そう
ここまでのポイントを整理します。
- 普通預金の金利は0.2%と低く、資産はほとんど増えない
- インデックス投資なら長期的に5〜10%の成長が期待できる
- 複利を活かせば長期的には資産が何倍にも膨らむ
- インフレによる資産価値の目減りを防ぐ効果もある
- リスクはあるが、長期運用でなら現実的にリターンを得やすい
- NISA・iDeCoを活用し、非課税で運用しよう
未来の安心は、今の行動からしか生まれません。
大きな金額でなくても、まずは毎月数千円から始めてみるだけで大きな一歩です。
経済的な見通しがあることで、“今この瞬間”の人生を、安心して楽しめるようになります。
「将来のお金の不安」を「今の行動」で解消していきましょう。
そして、人生を楽しんでいきましょう。