思考・内省

人は順応する生き物です|依存にも成長にもなる「慣れ」の使い方

shohei

人間は、良くも悪くも「慣れる」生き物です。

それが快楽であれ、依存であれ、成長であれ。
私たちは 環境に適応し、刺激に慣れ、やがてそれを“当たり前”にしていきます

悪い順応と、良い順応

たとえば、酒。
一杯だけのつもりが、気づけば毎晩の習慣になっていた。

ブラック企業も同じです。
最初は「おかしい」と思っていた残業も、半年経つ頃には「まぁこんなもんか」と思えてくる。

ギャンブルもそうです。
最初はドキドキを楽しむだけだったのに、いつしか「取り戻さなきゃ」と思うようになります。

これが 悪い順応 です。
気づかぬうちに、自分を蝕む方向へ少しずつ慣らされていくのです。

一方で、良い順応 もあります。
副業、読書、筋トレ。
続けていくうちに成果が出始め、「もっとやりたい」「もう少しできる」と感じます。

ポジティブな変化であり、行動と結果が好循環を生む状態 です。

どちらにも共通しているのは、「人は刺激に慣れる」という事実です。

今の刺激に慣れると、もう少し上を求めます。
もっと強く、もっと多く、もっと速く──。

そうして自然と、量が増えていくのです。
やがて私たちは、時間も、お金も、健康も、そこへどんどんリソースを注ぎ込みます。

悪い方向なら依存へ。
良い方向なら成長へ。

それが順応という仕組みの怖さであり、美しさでもあります

良い順応にも落とし穴がある

ここで注意したいのは、たとえ「良い順応」であっても、深追いしすぎるとストレスになる という点です。

副業を例に考えてみましょう

最初は、

考える人
考える人

「お金を少しでも増やしたい」
「家計の余裕を作りたい」
「自分の力で稼ぐ感覚を持ちたい」

そんな前向きな思いで始めたはずです。

最初の収益が出ると、うれしくなります。
「もう少し頑張れば、もっと伸びるかも」と思うようになります。

努力すれば成果が返ってくる
この時点では、間違いなく“良い順応”です。

しかし、気づけば──
「毎日やらなきゃ」と思うようになる。
「今日は書けなかった」「更新できなかった」と自分を責めるようになります。

最初は “やりたい” で始めたのに、
いつしか “やらなければ” になっている…。

ドーパミンの刺激は強烈です。
成果が出るほど、脳は「もっと報酬を」と要求してきます。

そしてある日、ふと気づきます。

  • 家族との時間を削っている
  • 睡眠時間を削っている
  • 心が休まる時間を、自ら奪っている

本来は「自由を得たい」と思って始めた副業が、いつのまにか「自分を縛るもの」になってしまっている。

これでは本末転倒です。

「やりたい」が「やらなければ」に変わって苦しくなるときは、こちらの記事も参考になるかもしれません
頑張りたいのに頑張れないあなたへ ー「本当の頑張り方」を見つけるためのヒント
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深追いを防ぐカギは「自己理解」

では、どうすれば深追いを防げるのでしょうか?
その答えは、自己理解 にあります。

自分の“上限”を知ること

どこまでが自分にとっての “満足のいく成果” なのか。
どこからが “不必要な努力” なのか。

自分の中の「上限」を知る ことです。

たとえば、副業で月3万円稼げれば満足なのか。
5万円を目指したいのか。
あるいは、それ以上を狙うのか。

それぞれのラインを最初に決めておく と良いでしょう。

トレードオフを意識すること

そしてもう一つ大切なのは、
「そこに時間を使うことで、何を失うのか」を明確にすることです。

副業に2時間使えば、その2時間で子どもと遊ぶ時間は減ります。
筋トレに1時間使えば、その1時間で本を読む時間は減ります。

人生はトレードオフの連続 です。
何かを得るということは、何かを失うということでもあります。

だからこそ、自分にとって「何が最も大切か」を知っておく 必要があります。

お金か、時間か、家族か、自由か。
それを見誤ると、せっかくの良い順応もストレスの種になってしまいます。

深追いしすぎて疲れたときは、「休む勇気」について書いたこの記事も読んでみてください
休む勇気が続ける力になる|目的と手段を切り分けて考える生き方
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自己理解を軸にした「順応の設計図」

ここまでの話を整理すると、次の3つのステップにまとめられます。

① 自己理解で“満足ライン”を定める

どこまでやれば自分は満足なのか。
どのあたりが自分にとって“ちょうどいい”のか。

まず「自分の満足ライン」を言語化 しておきましょう。

② 良い方向へ一歩ずつ進み、環境に順応していく

最初から完璧を求める必要はありません。
小さな成功体験を積み重ねながら、少しずつ慣れていく。

この「ゆるやかな順応」が、長期的には最も強いです。

③ 一定期間ごとに①と②を見直す

半年に一度でも構いません。
今の自分は、最初に定めた“満足ライン”を越えていないか?
その分、何かを犠牲にしていないか?

立ち止まって確認することで、暴走を防ぐ ことができます。

この3つを繰り返すだけで、順応は「依存」ではなく「成長」へと向かっていきます。

自分を成長させる時間を“楽しむ力”については、こちらの記事でも紹介しています
教養があれば安上がりになる|想像力が人生のコスパを変える理由
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人は変われる。だからこそ「どこへ慣れるか」を意識する

人間は順応する生き物です。
それ自体は避けられません。

だからこそ、「どこに順応するか」を意識的に選ぶこと が大切です。

悪い刺激に慣れれば、人生は沈みます。
良い刺激に慣れれば、人生は上がります。

ですが、どんな“良いこと”も、やりすぎれば毒になります。

順応とは、麻痺でもあり、進化でもある。
そのどちらになるかは、結局、自分の「軸」にかかっています。

だからこそ今日も、

  • 「自分はどこに順応しているのか?」
  • 「その方向は、自分を幸せにしているか?」

問い直す時間を持ちましょう。

人は順応する生き物。
その性質を理解し、うまく使いこなせる人こそ、
本当の意味で“自分らしい生き方”を築いていけるのだと思います。

効率化を考えるときにも、自分の“順応ポイント”を知ることは大切です
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