枠にとらわれるな|中田敦彦『天才の証明』が教えてくれた才能の見つけ方
オリエンタルラジオ中田敦彦さんの本を読みました。
前回記事に引き続き、今回も「お笑い芸人つながり」です。
中田さんといえば、当時は『エンタの神様』でよく見ていた「武勇伝」。
その後も、RADIO FISHでの『PERFECT HUMAN』、そしてチャンネル登録者数550万人以上の『YouTube大学』など、形を変えながらずっと第一線で活躍されています。
とりわけ『YouTube大学』には私自身、
- 難解な書籍を読む前に、まず概要を知りたいとき
- 自分なりに読んだあと、「中田さんならどう解釈するんだろう」と気になったとき
- 世の中の流れを、サクッと把握したいとき
など、これまで何度も助けられてきました。
そんな中田さんご自身が書いた本には、いったいどんなことが書かれているのだろう。
そう思い、今さらながら手に取ったのが『天才の証明』です。
本書は基本的に、中田さんの自叙伝です。
ブレイク当時の想いや葛藤、それでも前に進み続けるための推進力など、表ではなかなか見ることのできない「中田敦彦という人間の裏側」を、赤裸々に語ってくれています。
「あっちゃん、カッコいい!」
「I’m a perfect human.」
そんなフレーズを連想させる中田さんだったので、最初は「自分こそが天才である」という意味のタイトルなのだと、正直思っていました。
しかし読み進めていくと、ここでいう“天才”とは中田さんご自身だけを指す言葉ではなく、
人は誰しも天才。
自分を知り、能力を活かせる場所に行けば、みんな輝ける。
という、強い応援メッセージなのだと分かってきます。
今回も、自分自身への備忘録として。
本書の中で特に刺さった部分を抜粋し、ここに記録しておきたいと思います。
① 枠にとらわれるな
“「枠にとらわれてはダメだ。君の得意なことで勝負すればいい」。
(18ぺージ)
(中略)
正解」との尺度に縛られて、己の長所をつぶしているように見えます。
手段は目的ではない。”
おそらく本書全体を通して、中田さんが最も伝えたいことは、「枠にとらわれるな」ということなのではないかと思いました。
情報が多く、変化のスピードも速い現代において、
自分自身を見失い、分からなくなり、知らず知らずのうちに「答え」を外側に求めてしまう人は、少なくないのではないでしょうか。
日本の教育システムに沿って育つだけでも、
学校や国といった「外側」が用意したガチガチの正解に迎合しないと、良しとされないよう教育されていきます。
得意を伸ばすよりも、苦手をなくし、
まんべんなく平均的になることを求められる。
そんな幼少期を過ごしていると、
いつの間にか「合わせること」が上手になってしまいますよね。
そこへ追い打ちをかけるように、SNSやAIが発達していく。
「これが正しい」
「これが成功だ」
そんなキラキラ、ギラギラしたものを目にしてしまう。
ただでさえ外側の答えに合わせて生きることに慣れているのに、
そこに眩しい情報が流れ込んでくれば、本来の目的は霞み、
手段ばかりに目を奪われてしまうのも、無理はないのかもしれません。
だからこそ、自分を理解することが重要なのだと思います。
自分にとって大事なもの。
好きなこと。
得意なこと。
これらを内省し、しっかりとグリップしておくこと。
それが、目的が手段にすり替わってしまうのを防ぐ、唯一の方法なのだと思います。
①-1. 新しいものは、必ず理解されない
“「理解できない」との意見があったことも、喜ばしいことと受け止めています。これまで時代を変えてきた新しいものは、前の世代からの激しい反発なしには生まれないと考えているからです。”
(23ページ)
いつの時代も同じですよね。
「先行者利益」という言葉がありますが、
これもまさに、新しくて理解されない少数派のアイデアが、
少しずつ「これはいいものだ」と市場に浸透していくことで生まれるものだと思います。
新しくなく、すでに理解されているものは、
もう世の中では「当たり前」になっている。
それでは、前の世代からの激しい反発はない代わりに、
現状維持以上の結果も生まれにくい。
(もちろん、現状維持が悪いと言っているわけではありません。)
①-2. 70点を捨てる勇気が、100点を生む
“70点は出せるかもしれないけど100点には届きそうにないことは、思い切って捨てないといけません。
(40ぺージ)
限られた時間の中で、どこに力をつぎ込むかの取捨選択が大切。捨てていく作業こそが、自分にとってのオンリーワンを見つけ、伸ばしていくことです。”
「捨てる」という行為は、本当に大切な作業だと私も思います。
少し話がそれますが、
世間的に「お金」は大事にされる一方で、「時間」は軽視されがちな気がしています。
人生の時間は有限です。
そして、行動は基本的にトレードオフの関係にあります。
今この瞬間に何かを選んだということは、
それ以外のすべてを選ばなかった、ということでもある。
本当にこれでいいのか。
この自問こそが大事であり、中田さんの言う「思い切って捨てる」という行為は、
何かを選ぶこと以上に重要なのだと感じました。
①-3. 「やめる」は逃げではない
“ここからピアニストを辞めて違う地平に行くことは、逃げではありません。好きが減ったなら、また「好き」を増やせる場所を見つければいい。
(92ページ)
長く続けてきたことは、場所を変えれば強みです。”
とても刺さりました。
私は「一つのことをずっとやり続ける」というよりも、
「一定の成果が出るまで没入する」タイプです。
一定の成果が出ると、徐々に熱量が下がり、
次の目標を設定して、また没入する。
達成しては次へ、達成しては次へ……
そんなことを繰り返してきた気がします。
でも、案外それでもよくて。
「好き」になれる行動を変えながら、
「達成する」という行為自体は、ずっと続けてきたのだと、
今は思えています。
①-4. 欠点は裏返せば才能になる
“欠点ととらえられそうな資質も裏を返すと、「ほかのビジョンに完全にフィットする才能」となり、いろんな可能性を秘めています。物事にはいつも、二面性があるのです。”
(108ページ)
本当に、その通りだと思います。
- 「こだわりがない」 → 柔軟に相手に合わせられる
- 「集中力がない」 → 周囲の情報を敏感にキャッチできる
- 「動きが遅い」 → 一つ一つの所作を丁寧に行える
一見すると欠点に見えるものも、
裏返せば、とても魅力的なポイントになる。
物事は表だけを見るのではなく、
深く洞察し、裏側まで見ることが大切なのだと感じます。

①-5. 既存の物差しでは、才能は取りこぼされる
“既存の物差しで才能を図っていては、取りこぼすことがあるのだとハッとさせられました。”
(110ページ)
先ほどの「欠点も裏返せば才能」という話ともつながります。
本書では、中田さんの相方である藤森さんのエピソードが紹介されています。
藤森さんは、
- ビジョンがない
- やりたいことがない
といった、欠点と捉えられそうな資質があったそうです。
しかし裏を返せば、
- 社交的で誰にでもフィットできる
- 企画に対してNOと言わない
- 芝居に向いている
という才能があり、そこからどんどん活躍の場を広げていった。
そしてご存じの方も多いと思いますが、
「チャラ男」という唯一無二のキャラクターを確立しました。
既存の物差しだけで見ていたら、
「ビジョンがない人」で終わっていたかもしれない。
そう考えると、今テレビで「チャラ男」を見ることはなかった可能性もありますよね。
ここまで紹介してきた、
- 新しいものは、必ず理解されない
- 70点を捨てる勇気が、100点を生む
- 「やめる」は逃げではない
- 欠点は裏返せば才能になる
- 既存の物差しでは、才能は取りこぼされる
これらすべては、「枠にとらわれるな」という言葉に集約されていると感じました。
② 才能の「貿易」をしよう
“1つのルールの中で優れようと固執すれば、アドバンテージを見過ごしてしまいます。「異業種に行けばイノベーション」とは、「貿易」が成り立つのと同じです。才能の「貿易」をするべきです。”
(116ページ)
“ほかの人が過ごしていない時間を、あなたは過ごしてきた。それが、あなただけのオリジナルコンテンツです。”
(117ページ)
自分が所属しているコミュニティや世界の中だけを見ると、
上には上がいる。
それが当たり前に感じられて、
つい自分の才能が分からなくなってしまうこともあります。
でも、少し視野を広げて外の世界を見ると、
自分の才能が輝ける場所は、案外すぐ近くにあったりする。
まさに中田さんの言うとおり、
一つのルールに固執しているからこそ、見えなくなってしまう。
固定観念を手放し、柔軟に世の中を見渡すこと。
それは人生を楽しく、生き生きと過ごすためにも、とても有用な考え方だと思います。
では、なぜ私たちは固定観念にとらわれてしまうのでしょうか。
②-1. 気づけない理由は「周囲も同じ人」だから
“なぜ気づかないのか。それは栃木県で暮らしている間は周囲も栃木県民だから。栃木県で過ごしたことが圧倒的なアドバンテージになることは、パリに行けば気づくでしょう。育った環境などが似通った集団内にいるから気づけないけれど、ほかに行けば、貴重な資源になることは多くあります。”
(116ページ)
固定観念にとらわれる最大の理由は、
自分の周囲もまた、自分と似た属性の人ばかりだからだと思います。
つまり、「環境」が単一であるということ。
栃木県から、思い切ってパリという別の環境に行けば、
栃木県民だった自分のアドバンテージや魅力に、初めて気づける。
そんな話ですよね。
②-2. 「当たり前」は外に出て初めて価値になる
本書では、中田さんが番組ロケで新潟県の離島・粟島を訪れたエピソードも紹介されています。
この島では、巨大な「タルイカ」と呼ばれるイカが、
雨の翌日に浜辺へ大量に打ち上がるそうです。
しかも、それを一人のおばあさんが拾ってさばき、近所に配る風習がある。
かなり面白そうな話ですよね。
ところがロケ中、島民に名物を尋ねても、
「こんな島にはなんもねぇ!」と、口をそろえて答えていたそうです。
なぜ教えてくれなかったのかと尋ねると、返ってきた言葉がこちら。
“「いやぁ。当たり前のことだから、言うほどでもねぇだろ」”
(115ページ)
この話から分かるのは、
自分たちの魅力に気づけるのは、案外「外の人」だけかもしれない、ということ。
自分を取り巻く才能や魅力に関しては、
- 周囲も同じ環境だから、自分では気づけない
- 当たり前のことだから、自分では気づけない
この2点を踏まえると、
客観視によって才能に気づき、それを別の場所で活かすことで、
物事は大きく前に進む可能性があるのだと感じました。

③ 人間のスペック差は協力が前提だから
“人間が、それぞれ微妙にスペックを変えて単体を存在させているのはなぜか。
(139ページ)
協力させるためのです。協力したときにこそ、力が発揮されます。”
“大切なのは、自分はどういう起用のされ方をすれば最も活躍できるか。それを自覚することなのです。”
(139ページ)
世界には82億人、日本だけでも1億2000万人以上がいます。
それだけの人数がいて、
自分とまったく同じ人間が一人もいない。
これは、それぞれが手を取り合い、
足りない部分を補い合うように設計されたシステムだと考えると、
とても腑に落ちます。
人前に出るのが苦手な人は、
それが好きな人と組めばいい。
コツコツ作業が苦手な人は、
それが得意な人と組めばいい。
深く考えるのが苦手な人は、
それを楽しめる人と組めばいい。
そのためにも、自分は何を提供できるのか。
そこを理解しておくことが大切なのだと思います。
③-1. 人類はチームでマンモスを仕留めてきた
“マンモスと対決したとき、最初に数人がおとりになってマンモスを誘い出し、そこで待ち構えていた何人かが弓矢で撃ち、事前に掘っておいた落とし穴に追い込みました。そこに新たな数名が登場し、石を投げて火を放ち、仕留めることに成功しました(と想像します)。”
(133ページ)
あくまで想像とのことですが、
チームプレイで大業を成すという点では、現代にも通じる話だと思います。
個性は、まさにこのために存在しているのかもしれません。
③-2. 弱いところは、隠していい
“弱いところは隠します。無視します。ダンスが得意ではない藤森はダンスレッスンに行かないし、歌唱力のない私はボイストレーニングを受けません。ダンサー4人がネタやフリートークをすることはありません。”
(133ページ)
日本の教育では、まんべんなく点数を上げることを求められます。
基礎力をつけるという意味では有用でしょう。
しかし社会に出ると、
突出した強みや個性が求められる場面も多い。
営業は設計をしないし、
設計は工事をしない。
それぞれができることを担当し、
できないことは他の人が補う。
それが社会であり、人間という生物のあり方なのだと思います。
- 人間のスペック差は協力が前提だから、マンモスを仕留められた。
- 人間のスペック差は協力が前提だから、弱いところは無視していい。
私は、そう感じました。
【まとめ】
以上、短くまとめると。
枠にとらわれず、内側だけでなく外も見てみる。
欠点も裏返せば才能だし、思い切って捨てることは逃げではありません。
当たり前にできることが才能だが、当たり前がゆえに自分では気づきにくい。
環境を変えたり、人に聞いたりして、自分の才能を自覚しましょう。
そして「才能の貿易」ができれば、世界はきっと広がるはず。
人間はスペック差があり、協力が前提の生き物。
だからこそ、弱点を補ってくれる人とチームを組みましょう。
そうすれば、人類がマンモスを仕留められたように、あなたにとって満足のいく大業を成せるはずです。

以上です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
ぜひ本書を手に取って、実際に読んでみてくださいね。

この記事の参考文献:
『天才の証明』
中田敦彦(日経BP)
